2012-07-03

血管内治療:「血栓溶解療法」と「「Merci リトリーバー」」

アテローム血栓性脳梗塞心原性脳塞栓症による脳主幹動脈閉塞とその部位が諸検査で明らかなものの、rt-PA療法の適応基準を満たしていないため実施ができないケースも想定されます。これらの例に対して、慎重な判断の上で血管内治療手技を用いたマイクロカテーテルを誘導し、ウロキナーゼを投与して血栓の溶解を図ります。

しかし、治療による閉塞血管の再開通は劇的な症状改善をもたらす可能性がある一方で、致死的な出血性梗塞を誘発するリスクもあります。たとえ麻痺が残っても、生命予後が良好な患者に血栓溶解療法で知識的出血を招くことは絶対に避けなければならず、適応の決定は慎重に行わなければなりません。

出血性梗塞の発生を予測することは用意ではありませんが、少なくともCTで何らかの不可逆的虚血性変化が認められる場合や、緊急MRI検査の拡散強調画像で広範な高信号域を呈する場合は、血栓溶解療法は出血の危険が高く禁忌と考えられています。

2010年には脳幹動脈内の血栓を機械的に捉えて回収する血管内治療システム「Merci リトリーバー」が認可されました。血栓溶解薬を使用せず出血リスクが低いため、発症経過時間の枠をより拡大することが可能と推定され、期待が寄せられています。

2012-06-29

脳血管障害の病態・疫学

脳表面のクモ膜下腔にある動脈の壁が、引き伸ばされて膨らむことによってできた血管の瘤のことを「脳動脈瘤」といい、クモ膜下出血の大半はこの脳動脈瘤が破裂することによって引き起こされます。

能動脈はその形状から、①嚢状、②紡錐状、③解離性という3つのタイプに分類され、その成因から、先天性、動脈硬化性、細菌性、真菌性、外傷性などに分類されます。これらのうち、嚢状動脈瘤が全体の7~9割を占め、臨床上最もよく見かけます。

嚢状動脈瘤は脳底部のクモ膜下腔を走行する主要脳血管の分岐部に発生するので、これが破裂すると脳底部から脳表に至るクモ膜下出血を起こすことになります。破裂動脈瘤の好発部位は前交通動脈、内頚動脈-後交通動脈分岐部、中大能動脈分岐部となっています。

嚢状動脈瘤の成因は現在のところ確定していませんが、新生児に見られることは稀なため、純粋に先天性であるとは言えず、先天的な脳血管壁の脆弱性に高血圧などの後天的な血管障害因子が加わって形成されるとされています。

脳動脈瘤の発生頻度としては、部検例、また脳ドック受診者の数%程度で発見され、決して珍しい疾患ではありません。脳動脈瘤は列によるクモ膜下出血の頻度は、日本では欧米よりも高く、人口10万人に対して10~20人であり、好発年齢は40~60歳代となっています。

全国の脳卒中の患者数はピークを迎える2020年には280万人に達すると予測され、その約60%は介護を要するされていることから、この傾向は今後も続くことでしょう。

脳動脈瘤が破裂する確率は、年間0.05~3%と、報告により異なりますが、およそ年間1%前後と考えられおり、一般に大きいもの、小さくても形が歪なものは破裂しやすいとされています。破裂によるクモ膜下出血の予後は不良とされ、70%の患者が死亡するか障害を残し、社会復帰率は20~30%と考えられています。高次脳機能を含め、完全にもとの社会や職業に戻る率は、さらに低くなります。

2012-05-18

脳卒中の予防に努めるには

脳卒中で倒れたないためには危険因子の是正に努める「一次予防」に取り組むことが第一歩となりますが、動脈硬化が進行する前から行うべき予防策であり、20~30歳代で健康な人も心掛ける必要があります。これに対して「二次予防」とは、脳卒中を一度経験したことがある人が病気の再発予防のために行うものです。

生活習慣から見直す

危険因子の中でも特に注意が必要なのが、高血圧です。血圧が高い状態が続くと、血管に大きな負荷が常にかかることになり、損傷された血管壁に血小板が付着し、動脈硬化を引き起こしやすくなります。そのため、脳出血やくも膜下出血の大きなリスクファクターとなります。

糖尿病の人も注意が必要です。糖尿病にかかっている人の脳卒中死亡率は、そうでない人に比べて2~3倍も高くなります。これは糖尿病になると、脳内の細かい血管の動脈硬化が進み、動脈の狭窄や閉塞が起こりやすくなるためです。また、血液を固める作用のある血小板の働きが活発になり、血液が固まりやすくなります。

体内のコレステロールや中性脂肪の値が高い脂質異常症の人も、血管壁に脂質が入り込んだり蓄積するなどして動脈硬化が促進しやすい状態にあります。悪玉と言われるLDLコレステロールの数値が高い人ほど危険です。